大野栄治作品

大野栄治作 8寸
大野栄治 

    木童舎コレクションには、1万点近い伝統こけしがありますが、ガラガラと音を出す工夫をしているこけしは、そう数はありません。玩具らしさを演出するガラガラの装置は頭部をくり抜きに、閉じ込めているので、中々内部見ることが出来ません。  

 
私のコレクションには、何点かの大野栄治がありますが、最近入手した栄治こけしは、頭を振ると、乾いた軽やかな音が聞こえてきます。ガラガラという音を出す工夫がなされていて、豆類とは違う音色なので、どんな材質が入っているのであろうかと気になり、頭部の蓋をこじ開けてみました。

開けてみたところ、小石が数点入っていていました。 戦前のこけしでは音を出す頭部に入れる材質はあずきなどの豆類を入れてあると聞いていますが、小石を入れてあるのも存在するかもしれません。ただ、余り聞いたことはありませんが、豆類に比べて、もっと軽やかな乾いた音がする材質として、小石は面白いと思います。 

頭部の小石

大野栄治頭部

佐藤照雄作品№2

佐藤照雄作(6寸・昭和40年作) 

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『美と系譜』掲載と同時期の照雄作品です。照雄工人46歳の時の作品ですが、私はどちらかと言えば、こちらの方が好きです。
顔全体が上方に描かれ、ふっくら柔らかく、そして優しく微笑む表情と幾らかの三角錐の胴体フォルムからは、その寸法(6寸)とあいまって、幼女がもてあそぶ人形としての本望が持ち合わせているように見えて来ます 

阿部常吉作品コレクション No.10

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No.9の作品と同じく、胴底はノコギリによる切り離しで、立てても少し傾いてしまいます。No.9とは少し雰囲気が異なり、多くの常吉作品とは見た感じが違います。木地形態は縦長でNo.9よりはスリムに見えます。特に目立って異なるのは前髪の描き方で、No.9に比べて大きく櫛型に描かれています。また、眼の位置は顔の中心よりも下に描かれていて、眉と眼の間隔が普通の作品よりも、だいぶ離れています。画像ではわかりづらいのですが、眼点は幾らか俯き加減に描かれていて、通常の常吉こけしよりも、より幼く観える様に感じます。そして、鼻の描き方も、No.9は猫鼻で描かれていて比較出来ませんが、他の作品の鼻と比べると、やはり少しスリムに描かれています。以上の事から最初は常吉作品ではなく、別人が描かれたものかとも思ったりしたのですが、胴裏のサインは常吉工人のサインが書かれているので、結果としてよくわからずにいます。制作年代はNo.9と同時期と見ていますが、それも分からずじまいです。今は常吉作品にも、こんな作品があるのかと不思議に思っている次第です。

下の画像はNo.9の常吉作品ですRIMG0225abe阿部常吉

遊佐福寿作品 №2

遊佐福寿作 ダルマ
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骨董市で遊佐福寿作のダルマを見つけました。作者名が書かれてなく、ダルマの「福」という文字と衣の墨線が書かれていなかったので、見つけた最初は「どこかで見たダルマだな」ぐらいのものでしたが、すぐに福寿作のダルマと理解しました。

古い伝統こけし2本と一緒に3つ1,000円で入手してきたものです。未完成作品とも考えられますが、この描彩でも福寿工人のダルマとして、立派に鑑賞が出来ると思いますが如何でしょうか。

菅原 敏作品 №24

菅原 敏作 (1尺・昭和41年10月頃作)

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菅原敏、昭和41年10月頃の作品です。署名はされていませんが、菅原敏作に間違いありません。胴底には「1966・10」とボールペンで書かれているのみです。これと同手の作品がいくつかの資料で見る事は出来ますが、この作品はまるで昔の野武士の如く、荒振れた凄みのある作品になっています。

強く凝視する両眼はやや左前方の中空を見つめて一分の隙さえ見せません。両鬢の飾りは「怒髪天を突く」かの如く、太く力強い筆法で描かれています。この作品の「原」は中屋惣舜蔵の佐藤三蔵を写したと謂われています。残念ながら私は「原」の三蔵作品を見ていないので分かりませんが、頭部に描かれた三ツ山の飾りの描き方を見ると激情と云える程の激しさと力強さを見て取ることが出来ます。

「kokesi wiki」の菅原敏の項では、「・・・次第に面描に極端な筆癖が現れるようになり、一種異様な表情のこけしに変わっていった。」と記載されていますが、この作品は一種異様と云うよりも、古い遠刈田こけしに出会えたと云える程の見事な作品に仕上げられています。


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小林 清次郎 №1 

小林 清次郎作 (7寸・昭和40年代前半頃?作)
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つい最近、骨董市で入手したものです。小林清次郎工人の作品は膨大の量になりますが、その殆どの作品が鑑賞に耐え得るレベルの高い質を持っています。

先週のネットオークッションは保存完璧な古品こけしの名品が多数出品されていました。多くの作品は限られたマニアが落札して、私のように定年退職をした者には、ただただ、指をくわえて、落札画面を見るだけです。数百万円をかけて落札できる体力(財力)がある人が、またゾロ出てきた様に感じられるのは私一人だけでしょうか。第二次こけしブームが去り、一時期古品こけしもだいぶ値下がりして、入手しやすくなったと感じたのですが、今回のような結果になると、また古品こけしの値が上がってしまい、得難くなるようにも感じています。

今第三次こけしブームと呼ばれていて、若い方が伝統こけし界にたくさん入ってきているよですが、古品こけしに目が向くようになると、今現在制作されている伝統こけしには関心がなくなり、それが原因で、今の伝統こけしが売れなくなってしまうのではないかと危惧をしています。

現在では情報の届く速さは一瞬です。昔のように限られたマニアが闇から闇に伝えられる情報は中々表には現れてきませんが、今回の様なことになると闇の中に隠すことは不可能です。

私が今回入手したこの小林清次郎作品は、ネットオークッションに出品された古品群の中に入れても一歩も引けを取らない作品と考えていますが、その値段は奇しくも古品こけしの入札開始値段と同じワンコイン(500円)です。50年近く、伝統こけしを愛好する私にとっては、今回のオークション結果が現在の伝統こけし界へ悪影響が無き様に願うばかりです。

二代目虎吉作品 №2

2代目虎吉 (1尺1寸・昭和47年頃作?)

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最近、骨董市で入手したものです。制作年を昭和47年頃としたのは、前保有者?がこけしの胴底に鉛筆書きで記入してあったためです。

昭和47年と言うと、第2次こけしブームの真っ盛りで、こけし愛好家が気狂いのように伝統こけしを求めていた頃です。2代目虎さんの、この胴模様は、その頃はそんなに見かけませんでした。木童舎コレクション中にもあと1点あるかないかのものです。

寸法が1尺1寸とやや大きいのが気になりますが、顔の表情は穏やかで好きなこけしの一つです。

高野与八作品 №4

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高野与八作、初期の作品です。見事な胴模様の描彩は日本画の絵具である顔料を用いていて、色漆ではありません。顔や頭頂部の描き方も一般的な作品とは異なります。木童舎コレクションにはあと何点か与八作品がありますが、年代変化を追えるだけの作品数はありませんので、この作品がいつ頃の作品か良くは分かりませんが、サインや顔の描き方などから初期作と判断しました。

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頭部の絵具も「顔料」を用いています。
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胴裏のサインはひらがなで「よはち作」と書かれています。

遊佐福寿作品 №1

遊佐福寿作 (5寸・昭和35年頃)
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つい最近入手した福寿工人の作品です。制作年は底のサインから昭和35年頃と思われます。最初見たときには是隆工人の作品と思ってみたのですが、胴底のサインから昭和35年頃と知りました。


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筆遣いは固く、伸びはありませんがその分、太くて力強く、若々しさが溢れています。また、胴の楓模様もずんぐりむっくりして、描き方に幾分ぎこちなさが見られます。ただ、少し左前方を見つめる眼からは、微かな微笑みを浮かべているように感じ取ることができて、私の福寿こけしコレクションの中の好きな1本になりました。

佐藤 文吉作品

 佐藤文吉作1尺の作品です。制作年は胴底に「二十七年・佐藤文吉・二十九才」と記入があります。『手帖73号』には矢内謙次氏が「こけしの変遷 佐藤文吉」というタイトルで佐藤文吉作品をまとめられています。その中で昭和26年作の2本が掲載されていますが、昭和27年作のものは掲載されていません。
 文吉作品は戦前作もありますが、余り作らずにいて、極めて数が少ないという事です。戦後は昭和26年12月に中屋惣瞬氏が注文した5本が戦後の初作で、同じく中屋氏が昭和27年12月に注文した5本以外には初期作と呼べる作品はないようで、今回掲示の作品はその内の昭和27年12月作の1本であるかも知れません。
 この作品を最初に観た時は文吉作とは認識していなくて、ただ、何か心に引っかかるものがあり、胴底のサインを確認して、初めて文吉こけしと分かった次第です。
 この文吉こけしは、『手帖27号』掲載の文吉こけしの内、大寸の方に描彩が近く、ただ大きく異なるのは黒色のロクロ線が描かれていないだけで、細かな違いがあるにしても、昭和26年12月作と同じタイプに類するものとなっています。
 矢内謙次氏は『手帖72号』の中で、「昭和26年12月作は表情甘く、描彩も稚拙だが・・・・・」と述べられていますが、この昭和27年作については稚拙さはなく、3筆で描かれた前髪と力強く筆太で書かれた両鬢の描彩は、胴体の特異な菱菊模様と相まって、新鮮さ(斬新)を覚え、魅惑的な作品になっています。

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 鬢飾りは前からは見えない位、両鬢から後方に離れて描かれていて、これも余り見かけない描彩です。
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 また、頭部後方に描かれる三山の描彩は普通、一つだけであるが、27年作の文吉こけしは、髷を中心として、緑の絵具で2つに分けて描かれている。この描法も余り見かけた事がなく、私は初見でした。
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以上、つい最近入手した昭和27年作の文吉こけしを紹介しました。私の記憶では、何年か前のネットオークションで古い文吉こけしが一度に数多く出品された事を覚えていますが、その中に、昭和26年、27年作があったのかは、今となっては分かりません。
 もし、その中に文吉こけしの戦後作初期作品(昭和26年。27年作)があったのであれば、もう一度、この眼で見て観たいと、この昭和27年作品を入手してから、思うようになりました。
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